地域の交通を担う民営路線バスの減便や廃止が、全国的に拡大している。帝国データバンクが調査結果を発表し、約8割の民営路線バス運行業者が2023年中に1路線以上の減便・廃止することが分かった。30路線以上を有する運行業者127社を対象に調査した。
主な減便・廃止の理由は、運転手不足。高齢化や人手不足によって、運行系統の整理・減便・廃止に踏み切るケースが散見された。その他、沿線の人口減による収益性の低下や、運転手の労働環境改善による影響もあるようだ。
19〜23年の従業員数が把握できた民営路線バス運行業者307社のうち、5年間で人数が減少した企業は163社と、過半数を占めた。2割未満の減少が36.8%、2〜5割未満の減少が15.0%だった。23年10月時点での1社当たり従業員数は、235人。
民間路線バス業界は、他業種より給与水準が低い傾向にあり、労働時間も長いなど、待遇面の悪さが悪影響を及ぼしているとの指摘もある。コロナ禍で落ち込んだ乗客数も戻り切っておらず、賃上げの機運も高まりにくい。
帝国データバンクは「『2024年問題』解決の要となる運転手不足の短期的な解決が難しい中、利用者が多い市街地路線でも一層のダイヤ縮小や路線の統合などによる『減便・廃止』が進む可能性が高い」とコメントしている。
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