高速バスの「風雲児」が起死回生策 進撃続く「赤字日本一」3セク鉄道(3/3 ページ)

» 2023年11月30日 10時02分 公開
[産経新聞]
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地域とともに

 観光客の取り込みに力を注ぎながらも地方鉄道として目指すのは「地域に愛される会社」。地元住民に親しまれるとともに、天橋立(宮津市)といった観光資源などを含めた沿線の良さを生かしたまちづくりを行い、地域の価値向上を図ることが再建、生き残りには必要と考えているためだ。

「寿」のヘッドマークを付けたウエディング列車(ウィラートレインズ提供)
「給食列車」では沿線の中学生が乗客を案内した(ウィラートレインズ提供)

 平成30年11月には沿線出身の新郎新婦から「地元を走る丹鉄の車両でウエディングパーティーがしたい」とのリクエストを受け、記念ヘッドマーク付きの特別列車を運行。車内でウエディングパーティーを開き、駅の電光掲示板でサプライズメッセージを流した。昨年5月にもウエディング列車の車内で結婚式を開き、駅員が見送りを行った。

 今年1月には地元の沿線にある中学校からの要請に応え、給食風のメニューを提供する「給食列車」を運行。生徒が車内に学校の雰囲気を再現した飾り付けをしたり、車内放送や乗客の案内を手掛けたりした。

 この他にも、沿線の酒蔵とコラボして地元産のクラフトビールとおつまみを楽しめるイベント列車を運行したり、沿線をイメージした5つのブレンドのオリジナルコーヒーを開発して駅構内のカフェや観光列車内で販売したりするなど、地域と二人三脚で沿線や特産物のPRに積極的に取り組んでいる。

 「沿線地域にお金が落ちるようにすることが活性化につながる。当社だけでなく、社会的利益の追求こそが重要。自治体の熱意も感じている」と飯島社長。来年3月の北陸新幹線金沢―敦賀(福井県敦賀市)の延伸開業を見据えたJR西日本との連携やバスとの結節強化など、「アイデアはまだまだある」。再建を目指した丹鉄の進撃は続く。(橋本亮)

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