高速バスの「風雲児」が起死回生策 進撃続く「赤字日本一」3セク鉄道(1/3 ページ)

» 2023年11月30日 10時02分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 全国の地方鉄道が沿線の人口減少や少子高齢化の進展で厳しい状況に陥っている中、京都府北部を走るローカル線「京都丹後鉄道」(丹鉄)が逆境をはねのけるように“進撃”を続けている。運営会社は毎月のようにさまざまな集客イベントを打ち出しており、人気アニメとのコラボレーションに加え、乗客や地元からの持ち込み企画にも柔軟に対応。落ち込んでいた乗客数や運輸収入は持ち直しつつある。地域と一体となった「地元愛」に満ちた取り組みで生き残りを図る。

「海を走る」列車

 海外でも人気のテレビアニメ「進撃の巨人」のキャラクター、エレンやリヴァイなどがデザインされたラッピング列車が日本海沿いの線路を走り抜けていく。「海を走る、進撃の丹鉄」「進み続けた者だけがわかる鉄路の<絶景>」をうたい文句に、丹鉄がコラボレーション企画として西舞鶴駅(京都府舞鶴市)と豊岡駅(兵庫県豊岡市)の間を12月9日までの期間限定で運行する「進撃号」だ。

「進撃の巨人」のキャラクターが描かれた京都丹後鉄道のラッピング列車((c)HK/AOTF)

 進撃号は車内にもキャラクターやアニメの場面が描かれ、作品の世界観を楽しめるのが売り。車窓から見える日本海の絶景とあいまって「乗客の評判は上々。訪日外国人客らの利用も多く、知名度アップや乗客増加につながっている」(広報担当者)という。運行に合わせて販売している一部の関連グッズは発売直後に完売となり、現在も入荷待ちの状況が続いている。

 昨年6月には人気アニメ・ゲーム「艦隊これくしょん−艦これ−」のキャラクターのラッピングを施した列車も運行。SNS(交流サイト)などで多く取り上げられ、人気を博した。

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