人気急増の通信制高校 不合格者続出、なぜ?(2/3 ページ)

» 2023年12月01日 20時03分 公開
[産経新聞]
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 通信制高の需要増に応じて桃谷高でも募集定員を年々微増させてきたため、これまでは志願者数が定員を上回ることはなかった。ところが、今春の入試では同校への志願者が殺到。日曜・夜間の通信制への回し合格で一部救済したが、最終的に33人の不合格者が出た。

 大阪市立中学で進路指導を行う女性教諭は「不登校の子の選択肢が増えるのは歓迎だが、絶対に受かると思っていた学校で不合格が出て激震が走った」と振り返る。

 また大阪府の橋本正司教育長は「本来なら受け皿として機能すべき通信制高校で不合格者は出すべきではなかった」と事態を重く受け止める。

 来春の受験では同校の募集人員をさらに30人増員して備えるが、先月末に実施した受験生向けの説明会は事前申し込みの定員を超えたという。


 通信制高に進む生徒数は令和2年、全国で初めて20万人を超えた。通信制高の運営に株式会社の参入が認められたこともあり、私立通信制の学校数は210校にまで増え、生徒数も増加の一途をたどる。学校法人角川ドワンゴ学園の「N高」「S高」は特に人気で、2校の生徒数は約2万6千人と、私立全体の1割強を占める。

 ただ、教育内容は玉石混交だ。平成27年には、ウィッツ青山学園高校(三重県、29年閉校)で国の就学支援金の不正受給や、教育活動が十分に行われていなかったことが問題に。その後も十分な教員数を配置していないなど不適切な事例が散見される。

 文部科学省は今後、3都道府県以上から生徒を受け入れる「広域通信制高校」の監督を強化する方針で、設置認可した都道府県とは別の自治体が立ち入り調査などを行えるよう監視機能の強化に努めるという。

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