自動車や電機などの産業別労働組合(産別)でつくる金属労協は6日、令和6年春闘で賃金を一律に引き上げる「ベースアップ(ベア)」要求を月額1万円以上とすることを決めた。バブル経済崩壊以降は、固定費(売り上げに関係なく発生する費用)の上昇につながるとして、企業が実施に消極的だったベア。このため、入社の時期が就職氷河期だった層を中心に、ベアの経験がない人も多いとみられる。物価上昇が続く中、日本経済に再びベアが広がるのか−。
ベアは働く年数や年齢に応じて毎年上がる「定期昇給(定昇)」とは違い、基本給を底上げする。高度経済成長時代はベアが盛んに行われ、昭和49年には主要企業で定昇とベアを含め30%超の賃上げを記録した。
しかし、基本給は一度上げたら下げにくい。業績などによって変動するボーナスなどと違い、基本給の引き上げは固定費の上昇にもつながるため、バブル経済崩壊以降は長引く不況を背景にベアを実施しない企業が増えた。
岸田文雄首相は、企業の収益を、ベアと定昇からなる賃上げで労働者に分配し、さらなる経済成長につなげる「成長と分配の好循環」を掲げる。金属労協が掲げた高い水準のベア要求が、岸田政権の政策に追い風となる可能性がある。
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