くら寿司、創業以来初の売上高2000億円超え なぜ?

» 2023年12月13日 08時11分 公開
[産経新聞]
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 回転ずしチェーン大手のくら寿司が12日に発表した令和5年10月期連結決算は、売上高が前期比15.5%増の2114億円と3期連続で過去最高を更新した。売上高が2千億円を超えたのは昭和52年の創業以来初。国内外で新規出店を増やしたことが増収に寄与した。

 営業損益は24億円(前期は11億円の赤字)で3期ぶりの黒字となった。利益の圧迫要因となる食材、光熱費の上昇はあったものの、令和4年10月に実施した一部メニューの値上げや、3年に国内全店で採用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による店舗の省力化などが奏功した。最終利益は15.9%増の8億円。

photo 会見するくら寿司の岡本浩之取締役=12日、大阪市中央区

 近年、米国と台湾でそれぞれ子会社が上場し、株式市場からの調達資金で新型コロナウイルス禍でも出店を増やしたことや、円安による増益効果などで海外事業が好転している。米国事業は2019年8月に現地法人が米ナスダック市場に上場以来、初めて黒字化した。

 決算会見に臨んだ岡本浩之取締役は「1年を通じて円安が進み、海外の利益がふくらんでいる。ショッピングモールなどからの誘致も増えており、米国では今後も出店を加速する」と述べた。一方、上海に3店舗を展開する中国本土については、東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出の影響が出ているが、「今後の動きを注視する」と述べるにとどめ、中長期的な出店計画に変更がないことを強調した。

 令和6年10月期は売上高が7.0%増の2262億円、最終利益が27.4%増の11億円と増収増益を見込む。

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