赤字ローカル線は「バス転換」より「自家用車転換」 JR出身の専門家が提言(3/3 ページ)

» 2023年12月18日 10時26分 公開
[産経新聞]
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本命は自動運転

 国土交通省の交通政策審議会・地域公共交通部会が令和2年1月に公表した「中間とりまとめ」は《地方部における移動手段の確保については、将来的には、自動運転によるサービスの提供が効果的な対策の一つになる》としている。

 だが、福井さんは「対策の一つ」ではなく、自動運転こそ対策の本命、「ザ対策」だと強調する。

 自動運転はメリットとして、運転手不足の解消や、公共交通機関が少ない地方の過疎地域での移動手段としての活用が期待されている。一方で、課題としては事故が起きた際の責任の所在の明確化や、信号や白線を正確に識別するための技術の高度化が求められている。

photo 青山学院大大学院の福井義高教授

 米国や中国ではすでに無人タクシーの実用化が始まっており、わが国でも今年4月、改正道交法の施行により一定の条件下で運転手が不要となる「レベル4」の自動運転サービスが解禁された。都道府県公安委員会の許可制で、まずは過疎地域で特定ルートの公道を走行する無人の巡回バスなどを想定している。

 無人タクシーの分野でも、ホンダが先月、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁で令和8(2026)年1月から、東京・お台場で有償サービスを始めると発表。対面6人乗りの運転席のない車を開発し、栃木県の宇都宮市や芳賀町で技術実証を行っている。

 いずれも自家用車は対象外だが、バスやタクシーで高度な技術が蓄積されていけば、自家用車の自動運転も視野に入る。

 お年寄りが自分で運転しなくても、買い物や通院に自家用車を使えれば、高齢運転者の事故リスクも解消する。最寄り駅やバス停と自宅の間の交通手段がない「ラストワンマイル」問題も解決する。

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