「日本一高いビル」「1室200億円超」 麻布台ヒルズは確かにスゴいが、気になったいくつかのこと長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)

» 2024年01月03日 07時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 森ビル(東京都港区)は2023年11月24日、東京都港区に新しい複合施設「麻布台ヒルズ」をオープンした。同社が手掛ける“ヒルズ”と名が付く施設は「アークヒルズ」(1986年)、「愛宕グリーンヒルズ」(01年)、「元麻布ヒルズ」(02年)、「六本木ヒルズ」(03年)、「オランダヒルズ」(04年)、「表参道ヒルズ」(06年)、「虎ノ門ヒルズ」(14年)に次ぐ8つ目。なお、ほとんどは商業・オフィス・住宅の複合施設だが、元麻布ヒルズは例外的に住宅のみである。

麻布台ヒルズ

 これまで、港区には次々とヒルズが誕生しており、名所となっている。麻布台ヒルズの年間来街者数は約3000万人を予定している。既存のヒルズでは、六本木ヒルズが約4000万人を集客している。麻布台ヒルズは地下で東京メトロ・神谷町駅と直結しているものの、中心部の中央広場までは歩いて6〜7分はかかる。神谷町駅の知名度もあまり高いとはいえない。それほど交通の便が良くない場所にありながら、非常に高い集客目標を掲げている格好だ。今のところ、23年12月9〜25日に開催したクリスマスマーケットの効果もあって、順調に集客している。多くのレストランは行列ができていたり、予約で埋まっていたりしている。

森JPタワー

 麻布台ヒルズの売りは、何といっても中核となる超高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」(以降、森JPタワーと略す)が、高さ約330メートルと、現時点では日本一高いビルであることだ。33階には展望台の「スカイロビー」があり、無料で入場できる。観光客にしてみれば、ここが一番の見どころだ。東京タワーを間近で見下ろせる場所は、そうそうはない。そのインパクトは大きく、上層階からの景色はどう見えるのだろうかと、連日多くの人が訪れていると見られる。

中央広場

 最上階・64階には、物件の最高価格が200億円以上ともいわれる超高級マンション・アマンレジデンス東京がある。お高いことで知られるヒルズのマンションでも、ここまで高いウルトラセレブの物件は従来なかったのではないか。災害対策は万全で、各街区に非常用発電機を設置。災害に強い中圧ガスを使用することで、災害時にも必要な電力を安定的に供給可能としている。

 そればかりか、周辺エリアで帰宅困難者が発生した場合に、約3600人が一時滞在できる受け入れスペースを確保した。なお、六本木ヒルズでは5000人、虎ノ門ヒルズでも5000人規模の帰宅困難者を受け入れ可能で、港区と官民連携した「逃げ出す街」から「逃げ込める街」へという、森ビルの設計思想を踏襲している。非常食は森ビル全体で約27万食を準備している。

野外ベンチ。高低差を生かしたデザインを採用
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