“クレイジー”な日本の避難所を救う 「ムービングハウス」とは何かスピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2024年01月10日 09時54分 公開
[窪田順生ITmedia]

自治体も注目

 ということで今、多くの自治体がムービングハウスに注目している。ムービングハウスの普及・推進を進めている日本ムービングハウス協会の公式Webサイトによれば現在、102の自治体が協定を結んでいる。残念ながら、石川県は協定を結んでいないが、以下のように声がけをしている。

『一般の被災者も入居する仮設住宅については、県はプレハブ協会やムービングハウス協会に協力を依頼。建設候補地は県有地の活用も含め検討する。今後、被災自治体側の要望を聞きながら戸数を決める方針だ』(北国新聞 1月5日)

 プレハブ住宅は建てるのにどうしても時間がかかるし、多くの作業員や重機が入らなくてはいけない。ホテルや旅館を被災者の避難所として活用するには、休業補償をどうするのかなど、どうしても調整に時間がかかる。

 体育館などでの過酷な避難生活が長引けば長引くほど、被災者は心身を蝕(むしば)まれていく。つまり、災害関連死をこれ以上出さないためには「時間」との勝負なのだ。ムービングハウスは移動できるのだから学校の校庭や、自治体が管理する公園などに急いで設置すれば、どれほどの人々が助かるか。

熊本県球摩村で設置した多目的広場仮説団地イメージ(出典:日本ムービングハウス協会の公式Webサイト)
設置イメージ(出典:日本ムービングハウス協会の公式Webサイト)

 さて、こういう話をすると決まって、「莫大な数の被災者がでる中で被災地に大量にムービングハウスを運び込むなど現実的ではない」とか言う人がいるが、運び込むと思うからそういう結論になる。

 全国の自治体で「備蓄」をしておけばいいのだ。

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