“クレイジー”な日本の避難所を救う 「ムービングハウス」とは何かスピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2024年01月10日 09時54分 公開
[窪田順生ITmedia]
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日本中にムービングハウスを

熊本県球摩村での「さくらドーム仮説団地」設置イメージ(出典:日本ムービングハウス協会の公式Webサイト)

 日本では南海トラフ巨大地震が発生する可能性がある。多くの人が亡くなるし家も失う。そして、ボロボロに打ちひしがれた被災者は、体育館で冷たい床にマットを敷いて生活をしなくてはいけない。

 幸運にもテントが与えられて、その中で段ボールベッドで寝ることができる人もいるだろう。しかし狭い居住スペースと生活音に疲れて、避難生活が長引けば長引くほど、心身が疲弊していく。予測されている被害規模から考えても、東日本大震災の震災関連死3794人以上の「避難生活で亡くなる人」が出るのは確実だ。

 こんな「クレージー」な未来がすぐ近くに見えているのにわれわれは、「五輪だ、万博だ、過去最大の防衛費だ」と、国民の命を守ることと無縁なことに税金を使いすぎだ。

 今からでもまだ間に合う。「気の毒だけれど地震が起きたら被災者は体育館で雑魚寝するのは当たり前」などというクレイジーな考え方は捨てて、国をあげて日本中にムービングハウスを「備蓄」すべきではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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