無印、3COINSを脅かす? ダイソー系列のこだわり「300円ショップ」が急増している背景(2/3 ページ)

» 2024年01月18日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

「THREEPY」「CouCou」も展開

 直近1年で大創産業はStandard Productsの出店ペースを加速させている。21年3月に1号店をオープンした後、2号店を同年10月に開店。22年末時点では約30店舗しかなかったが、前記の通り23年は月平均5店舗のペースで拡大し、年末時点で約100店舗となった。新業態はたいてい数店舗を展開し、見込みがなければ撤退するのが通常のやり方だ。これだけ伸びていることから、大創産業にある程度の手応えがあると分かる。

グッドデザイン賞を受賞した、Standard Productsの「虫除け渦巻き煙香」(同前)

 ちなみに同社は300円均一業態として他にも「THREEPPY(スリーピー)」を展開している。THREEPPYは30〜40代の女性をターゲットにしたもので、食器や洗濯用品、バッグ類など「かわいい」柄のものが多い。こちらは約9割がオリジナル商品であり、18年に1号店をオープンし23年9月時点で店舗数は400を超える。

 他にも大創産業は20年5月に300円ショップ「CouCou(クゥクゥ)」をビルジャン(名古屋市)から取得。CouCouは現在、約30店舗を展開している。こちらもTHREEPPYと同様に女性をターゲットとした店舗だ。近年の動きを振り返るとダイソーが300円均一業態に力を入れてきたことが分かる。

同じくグッドデザイン賞を受賞した300〜1000円の「インド綿リサイクルコットンシリーズ」(同前)

3COINSに刺激を受けた?

 ダイソーが300円業態に進出した背景には、300円ショップの先導役ともいえる「3COINS」の成功があるのではないだろうか。3COINSはアパレル事業を主力とするパルグループホールディングス(大阪市)が1994年に始めた業態で、生活雑貨やインテリア雑貨を扱う。Standard Productsと同じくほとんどがオリジナル商品だ。

 21年2月期に200店舗を突破した後、23年9月には300店舗を達成した。3COINS事業の売上高は20年2月期から23年2月期にかけて257億円→259億円→379億円→489億円とコロナ禍での成長が著しい。コロナ禍における300円ショップ業態の成功を見たダイソーが、同業態の拡大を急いだと推測される。

 同じく3COINSに触発されたのか、無印良品も同業態に進出している。無印は22年9月に500円以下の商品をメインとする「無印良品 500」を展開し始め、駅ナカなど日常的に来店しやすい場所をターゲットに出店している。500円以下の日用品・消耗品が多くを占め、その他化粧水など女性向けの商品も取り扱う。厳密には300円ショップではないが、100〜200円台の商品も多く、全体的な価格帯を考えれば300円ショップと似た業態であるといって良いだろう。年間20店舗ペースでの出店を計画しているという。

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