3COINSに引き続き、各社が300円ショップ業態に進出したわけだが、ダイソーが進出した背景には100円均一の限界もあると考えられる。非上場のため大創産業の業績は確認できないが、競合の業績を見る限り状況は厳しいことが分かる。セリアの21年3月期から24年3月期の業績は次の通りだ。
売上高:2007億円→2080億円→2123億円→2200億円(予想)
営業利益:212億円→209億円→154億円→129億円(予想)
巣ごもり需要などで売上高こそ伸びているが、利益は著しく目減りしている。原材料費や燃料費が上がり続けている中、売価を100円に固定していることが大きな理由だろう。ちなみにキャンドゥも同じく売り上げが伸びたものの、利益は圧迫されている。大創産業の売上高も21年2月期から23年2月期にかけて5262億円→5891億円に伸びているが、おそらく利益は他社同様に厳しい状況にあるのではないだろうか。こうした中で、伸び続ける300円ショップ業態に勝機を見出したと考えられる。
Standard Productsは現在、全国的に出店を進めており、地方モールでの出店が目立つ。一方、無印良品 500は首都圏の駅ナカなどに出店しており、店舗数も今のところ少ない。そのため現状ではStandard Productsの競合は、同じく全国に出店する3COINSといえる。だが同業態での成功が見込まれれば無印良品 500も地方への出店を進め、また、他業態からの参入も起きるかもしれない。ダイソーをトップとして100円均一のシェアが固定化された今、今後は300円ショップ業態でシェア獲得競争が激化しそうだ。
山口伸
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_
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