奥平氏は「他社で不正が発生したとき、問題となった工程を見に行き、現場の話も聞いた。完成車検査、燃費の測定、きちっと出されていると確認した」と話している。もっとも、現実にはトップによる現場への目配りは不正やそれに至る問題点には届かず、上滑りに終わっていた。
現場が不正を隠す状況では社長の現場視察の効果に限界はある。ただ、トヨタの佐藤恒治社長は「もっとダイハツの現場に踏み込むべきところはあったが、それができない両社の関係になっていた」と指摘する。
トヨタには、軽自動車を中心とするダイハツの良品廉価な車づくりに対する「リスペクト(敬意)」があったという。ダイハツが手掛ける車体サイズの領域はトヨタが不得意とする部分で、だからこそ平成28年8月に同社を完全子会社化し、小型車事業の戦略会社に位置付けて生産委託などの連携を拡大した。
しかし、「トヨタができていない車づくりをしっかり学びたいという思いがあればあるほど、現場に対してトヨタが関与し、そこをリードしていくことがためらわれた」(佐藤氏)結果、実質的にトヨタが握る経営と車づくりの現場には距離があったようだ。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング