ダイハツ不正 トヨタ流が“上滑り”した理由 露呈したガバナンス不全(1/4 ページ)

» 2024年01月24日 17時05分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 トヨタ自動車がグループガバナンス(企業統治)の危機に直面している。ダイハツ工業が車両安全の認証不正で国土交通省から是正命令を受け、日野自動車によるエンジン性能試験の不正に続き、子会社で、トヨタが最も重視する現場に根ざした改善の文化の欠如が露呈した。グループを率いるトヨタの豊田章男会長は近くガバナンスの新たな指針を示す方向だが、突き付けられた課題は重い。

経営と現場の距離遠く

 ダイハツでは30年以上前から認証不正が繰り返され、第三者委員会による調査で174件の不正が昨年12月に判明。エアバッグが作動するかどうか確認する試験の際に量産車で使用する電子制御装置の開発が間に合わず、タイマーで自動的に作動させていた行為には、「ありえない」(長田准執行役員)とトヨタ内にも衝撃が走った。この不正の対象車種は、国交省が大量生産に必要な「型式指定」を取り消す方針だ。

 現在の奥平総一郎社長を含め、平成4年以降のダイハツの社長7人のうち6人はトヨタ出身者だ。この歴代トップが、生産現場に足を運び問題点などを確認するトヨタ流の「現地現物」の改善活動をないがしろにしてきたのかといえば、そうとはいえない。

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