親会社出身のトップが子会社の経営を主導し、事業戦略が両社で共有される一方、親会社が求める経営目標の具体的な達成策は子会社に任せる。そうしたグループ経営の統治スタイルは多い。
しかし、そもそもトヨタの経営は、生産現場の作業を通じて改善の考え方や行動を養う人材育成のボトムアップと、その仕組みで育てられた経営陣による現場主義の徹底の継承の両輪で成り立っている。
「トヨタ生産方式」を体系化した大野耐一氏の薫陶を受けた林南八元技監をはじめ、現場で改善活動をたたき込む指導者の人づくりがトヨタ流を支えており、豊田会長自身も林氏に現場で鍛えられた一人だ。
翻って、トヨタによるダイハツの統治スタイルは肝心の現場の人づくりには踏み込まなかったわけで、トヨタ流を学んだ経営トップがいても、改善の企業文化が根付かず、第三者委の調査で浮き彫りとなった「できないと言えない」「失敗やミスへの激しい叱責、非難」「助け合いがない」といったダイハツの組織風土の問題に日が当たらなかったのは当然ともいえる。
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