パナソニックHDが最高益3991億円、要因は?(1/2 ページ)

» 2024年02月02日 20時23分 公開
[産経新聞]
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 パナソニックホールディングス(HD)が2日発表した令和5年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比1.2%増の6兆3003億円、最終利益が約2.4倍の3991億円で、増収増益となった。米国での電気自動車(EV)用電池生産に対する米政府の補助金が利益を押し上げたほか、車載情報システムなどの事業が自動車生産の回復に伴い業績を牽引(けんいん)した。

 過度な物価上昇の抑制やエネルギー安全保障を目的とした米インフレ抑制法(IRA)により、パナソニックHDが米国で生産するEV電池が補助金の対象となっており、利益に大きく貢献している。同社はテスラ向けにネバダ州で電池を生産しているほか、カンザス州では新たな電池工場の建設を始めており、来年度中の生産開始を予定する。6年3月期への業績影響として最終利益に1100億円を見込む。

photo パナソニックホールディングスの本社=大阪府門真市

 家電を中心としたくらし事業は、中国などの家電市況が悪化しているほか、欧州での空調の需要が減少。北米向けの冷凍機などは堅調なものの、事業全体の通年見通しを売り上げ、利益ともに下方修正した。

 車載システムやカメラを担う事業は自動車生産がゆるやかに回復に加えて価格転嫁も進み、当初の想定より売り上げを伸ばした。パナソニックHDは昨年11月にパナソニックオートモーティブシステムズ株の過半を米投資ファンドのグループ会社に売却すると発表。3月末の正式契約を目指しており、数千億円に上るとみられる売却益は成長領域に投資するとしている。

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