「海外株式などで運用する投信は円を売ってドルを買って投資するので円安圧力になる」。日本総合研究所の立石宗一郎研究員はこう指摘する。立石氏の試算によると、新NISA開始に伴い、こうした海外投資が最大で年3兆9千億円程度発生。9年までの4年間で最大6円程度の円安要因になるという。
市場では米国の利下げと日本銀行のマイナス金利政策解除が遠くない将来に行われれば、日米の金利差が縮小し、中長期的には円高ドル安が進むと見る向きが多い。だが、新NISAの影響で円安が加速すればこのシナリオは覆り、大半を輸入に頼る燃料などの価格上昇に拍車をかける懸念もある。
政府は「新NISAに為替レートの変動要因を求めることは困難」(鈴木俊一財務相)とのスタンスだが、一層の円安の進展が物価に跳ね返る状況となれば、追加の物価高対策を迫られる可能性もある。個人の資産形成の支援と物価抑制の両立に悩まされる局面も出てきそうだ。(永田岳彦)
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