年間に33種類もの商品を開発する根底にあるのは、徹底した顧客志向だ。「消費者にどういう気持ちになってほしいか」を考える。新商品を発売するだけでなく、レギュラー品や定番品にも改良を加えるほか、パッケージデザインを変えるなどの工夫を続け、消費者を飽きさせないよう取り組んでいる。
新商品の販売スケジュールは年間を通して決まっているため、季節ごとに消費者の目に留まり、手に取ってもらうための試行錯誤が欠かせない。
有楽製菓における新商品の開発プロセスは、まず前年に発売した商品に関する振り返りと課題の抽出から始まる。次いで、トレンドやニーズを意識した商品コンセプトを立案し、コンセプトが固まれば、フレーバーを選定する。その後、複数のフレーバーのアイデアを社内で議論し、社長の承認を得るというのが基本的な流れだ。
特に苦労するのが、商品コンセプトの立案だという。「購入してくださるお客さまの気持ちを考える。トレンドやニーズを把握し、何を訴求すれば満足度を高められるのかを探る作業は企画課の醍醐味」と嶋田氏は言う。
社長の承認を得られれば、フレーバーを開発課とともに作り込んでいく。同時に、味をより一層高めるために、原材料、具材のサイズ感などについても議論を重ね、試作を繰り返す。
味わいについては、社長を交えて何度も繰り返し、確定させていく。一般的には、最終決定の場のみに社長が参加することが多いなか、有楽製菓では社長も試食に複数回参加し、社員とコミュニケーションを取るという。
18年に社長に就任した河合辰信氏は、もともと同社のマーケティング部に所属しており、メンバーとの距離は近い。その風通しのよい社風も、多くの新商品を生み出す土壌となっているようだ。「社長もよく試食に参加してくれるので、商品以外にも競合の話やトレンドについて気軽に話し合えています」
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