なぜブラックサンダーは次々に新商品が登場するのか 実は300種類を突破(1/4 ページ)

» 2024年02月09日 09時00分 公開

 今年もバレンタインの季節が近づいてきた。数ある「チョコ菓子」の中で、不動の人気を誇るのが有楽製菓の「ブラックサンダー」だ。CCCMKホールディングス(東京都渋谷区)の調査によると、購買ランキングで1位を獲得した(※)。2013年2月には、「一目で義理とわかるチョコ」というキャンペーンを展開し、「義理チョコ」としてのイメージも定着しつつある。

(※)全国15〜69歳の男女が2021年11月1日〜22年10月31日に購買した「チョコレート」カテゴリーからランキングをまとめたもの。

photo 有楽製菓の「ブラックサンダー」(提供:有楽製菓、以下同)

 1個35円(希望小売価格)と安価で、根強いファンも多いブラックサンダーは、パッケージにも記載があるとおり「ザクザクとした食感」が特徴だ。同時に、豊富なラインアップを提供している点でも他のチョコ菓子と一線を画している。

 これまで累計で300種類以上を発売してきたというが、なぜ多くの商品を開発できるのか。同社マーケティング部企画課の北島あや氏と嶋田真亜子氏に話を聞いた。

2023年は33種類を発売。年間の販売本数は2億本超

 1994年に発売したブラックサンダーは今年で30周年を迎え、X(旧Twitter)の公式アカウントのフォロワー数も24年1月現在で70万人を超えるなど、人気の高さがうかがえる。だが、意外にも発売当初は売れ行きが悪かった。

 発売から1年で生産中止となったものの、当時、九州にいた営業担当が「絶対に売れる」と会社を説得し、再生産を始めたところ徐々に売れ始めた。2003年には、大学生協から人気に火がつき、大手コンビニでの販売もスタート。08年には国際スポーツ大会に出場した選手が好物として紹介したことで爆発的なヒットとなった。

 その後、18年には年間の販売本数が2億本を超えるなど、順調に売り上げを拡大している。

photo 今年で30周年を迎える

 23年には、33種類ものシリーズを発売するなど、毎月何かしらの商品が誕生するペースで開発を進めている。既存商品のパッケージ変更やリニューアル品も含めての数だという。コンビニなどで商品が目まぐるしく入れ替わることが背景にある。「なるべく店舗で目について手に取ってもらえるように商品を展開している」(嶋田氏)

 これまで発売した商品は、限定販売も含め、累計で300種類以上にのぼる。基本的に入れ替え前提での販売だが、中には定番化した商品もある。そのひとつが、プレミアムシリーズの「至福のバター」だ。

 販売当時はコロナ禍で外出規制があり、自宅で楽しめる「プチ贅沢(ぜいたく)」がトレンドとなっていたことから、同社は「高級感」に着目。「1個当たりの価格が安いブラックサンダーに高級感を加えて販売したところ、当時の需要とうまくマッチして売り上げが伸びた」(嶋田氏)

 もともと期間限定での販売を予定していた同商品は、20年9月の販売から、現在4年目を迎えている。

photo プレミアムシリーズの「至福のバター」

 有楽製菓では、新商品を開発する際、顧客ニーズ、発売時期、競合商品、トレンドなどを踏まえながら商品のコンセプトを組み立てている。「至福のバター」の成功は、同社が商品開発で大切にしている顧客ニーズやトレンドのうまく把握した好例といえる。

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