北陸新幹線延伸 利便性は“明暗”が分かれる(2/3 ページ)

» 2024年02月19日 07時58分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 その中での新幹線の延伸開業に、福井県未来創造部の林裕之課長は「100年に一度のチャンスだ」と期待を隠さない。同県での初の新幹線運行となり、一気に4つの停車駅ができるからだ。

 期待の背景には金沢市の成功体験がある。北陸新幹線は平成27年3月に長野―金沢間が延伸開業し、開業前の特急利用者数と比べ、新幹線の利用者数は約3倍に伸びた。金沢駅周辺の地価は約2倍に上昇し、観光客も増えた。

 もちろん「駅が開業するだけで観光客が来るわけではない」(林氏)。来県する人々への受け入れ態勢の強化が不可欠だ。福井県は延伸開業にあわせて、特産の「越前ガニ」や、人気観光地の県立恐竜博物館のアピールを強化。観光施設のリニューアル、新幹線停車駅周辺の商業施設、ホテル開発などを進める。

 一方、東京からみると、延伸開業で直通運転となるエリアが増える。東海道新幹線で結ばれている関西や東海、東北新幹線で結ばれている東北などに、北陸が加わることになる。

 移動時間も特急で行く場合より短縮される。たとえば東京―敦賀間は特急などを使った同じルートでの移動と比べ50分も短くなり、料金も安くなる。行き来しやすくなることで北陸との交流が深まり、北陸からの企業人材の確保が進むなどの可能性がある。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.