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「何とかして仕事の状況を変えたい」と願う人へ 具体的にはどうしたらいいのか?仕事を楽しむための「セルフリーダーシップ」入門(4)(2/2 ページ)

» 2024年03月05日 07時00分 公開
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捉えなおすことで、仕事への向き合い方もより良く変わっていく

 “深める”と“広げる”をイメージしていただいたところで、早速それを仕事でも生かしていきましょう。お悩みとして聞くことの多い「仕事へのやらされ感がぬぐえず、つらい」という例をもとに考えていきます。

理解を“深める”

 まず、仕事への理解を深めてみましょう。「もしかしたら、仕事について今の自分の捉え方や理解は、ほんの一部分に過ぎないのかもしれない」という意識を持ち、仕事について掘り下げます。

 深め方としては、自分自身で内省を深めていくのも良いでしょう。「この仕事の価値は何だろう?」「周囲から見ると、この仕事はどのように見えているのかな?」などと思いを巡らせてみてください。また、自分一人では深めていくことが難しい場合、他者の捉え方を聞いてみるのもおすすめです。会社の同僚・先輩・上司が仕事をどのように捉えているのか、これまでに感じた仕事へのやりがいや面白さなどをフラットに聞いてみるのも良いでしょう。

 仕事を通して自分に期待してくれていることなどを聞くのも有効です。また、会社外の人に聞いてみても、新たな視点を得られることがあります。

 このように、自分自身で観点を出してみたり、他者から意見をもらったりしながら、まずは、良い・悪いとジャッジをせずに選択肢として受け止めていきます。そして、集まった選択肢を客観的に見ながら「自分は/〇〇さんは、なぜこう思ったのだろう?」とさらに考えていくと、どんどん深まり、自分の仕事への捉え方も変化していきます。ぜひ、その変化を楽しんでみてください。

視野を広げる

 続いて、仕事への視野を広げていきます。「仕事をさまざまな角度から見ることで、そういうやり方もあるんだと新しい考え・方法に気づけるかもしれない」という意識を持ち、見える世界を広げていきましょう。

 グッと入り込む“深める”とは対象的に、“広げる”はテーマから離れていくこともOK。リラックスして柔軟に進めていきましょう。

 まず、自分の中にある「仕事とはこうだ」「仕事はこうすべき」などの観念を取り払います。その上で、「課題解決につながらないんじゃないの?」と感じる案もひとまずOKです。「私らしくない」「私にはできない」と思う案もOKです。すぐに答えを出そうとせず、多様な案をどんどん出していきます。

 より幅広い案を出したい時におすすめなのは、普段自分が接しない人・得ない情報に触れてみることや、しない行動にチャレンジしてみることです。

 例えば、考え方が違うと避けてきた同僚に意見を聞いてみるのはいかがでしょうか? また、本屋さんで立ち寄らないコーナーの本を手に取ってみたり、世代が異なる上司のオススメスポットを聞いて足を運んでみたりするのも、楽しみながら視点を増やせます。

 一見、課題解決につながらないと思うことでも、ヒントが多々転がっています。自分の型を決めつけず多様なものに触れることで、自分では考えもしなかった考え方ややり方に出会えるのです。

 実際に、仕事へのやらされ感からつらさを抱えている人が、状況を捉えなおしていったところ「工夫によって、今の仕事でも自分がやりたいことができる可能性が見えてきた」「思いもしない方法が見つかった。この方法なら現状を変えていけるかもしれない」などの声もいただいています。

 どうせ仕事に自分の時間を使わなければいけないのなら、より心地よく仕事時間をすごしたいものです。ぜひ、状況を捉えなおしていくスイッチを使ってみてください。

 今回はセルフリーダーシップを発揮する3つのカテゴリー「自分らしさを生かす」「自分をアップデートする」「状況を捉えなおす」のうち、「状況を捉えなおす」をご紹介しました。最終回となる次回は、今まで連載してきた「セルフリーダーシップ」についてのまとめとなります。

執筆者プロフィール 武石美有紀(たけいし・みゆき)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ トレーニングマネジメント部 研究員

2014年大学在学中に個人事業開始。 2016年リクルートキャリア(現リクルート)入社。企業の採用領域の課題解決支援や社内の新人研修の企画・研修講師業務に携わる。

現在は、リクルートマネジメントソリューションズ にて、主に新人・若手社員向けのトレーニングサービスの企画・開発に従事。

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