アップルも新規参入断念 EV市場が大きな曲がり角に差し掛かっている(3/3 ページ)

» 2024年03月07日 13時56分 公開
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充電時間に残る課題

 EVの需要減の背景として、佐藤氏は「ガソリン車やHV車などに比べて充電にかかる時間が長い問題は解消されていない。米国では、大雪の中で充電施設でEVが立ち往生する様子も報じられるなど自動車本来の利便性に課題が残る。環境面でも、再生可能エネルギーを用いた送電網の未発達や、原材料となるレアメタルの精錬時の二酸化炭素(CO2)排出などの課題もクリアされていない。現状はガソリン車との妥協案であるプラグインハイブリッド(PHEV)やHVに比べて、EVはまだ主力たりえない」と指摘する。

 英市場調査会社ロー・モーションが発表した1月の世界の完全EVとPHEVの販売台数は計110万台で、前年同月から69%増えた。一方、英市場調査会社カナリスの見通しでは、24年の世界のEV市場の伸び率は27.1%で、昨年の29%から鈍化した。

 EV普及を支えているのが、各国政府の補助金という実情もある。

 欧州自動車工業会によると、ドイツでは、EVの補助金を廃止した昨年12月、EV販売台数が前年同月比47.6%減とほぼ半減した。

 前出の佐藤氏は「500万円を超える高額な自動車には一般の顧客は手を出しづらい。補助金がなければ需要はさらに落ちるかもしれない。EVは理想ではあっても、政治も含めて急ぎ過ぎた。一連の大手メーカーの動きは、過熱したEV促進論を脱却し、冷静に議論する契機になるかもしれない」と語った。

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