電気自動車(EV)市場が大きな曲がり角に差し掛かっている。ドイツのメルセデス・ベンツや米「ビッグ3」の一角など大手メーカーがEV計画を急減速させ、米IT大手アップルはEVへの新規参入を取りやめた。「脱炭素」の名の下に、「EVに乗り遅れるな」とばかりに正当化されてきたEVシフトだが、利便性や割高な価格といった問題が残ったままだ。米大統領選で共和党候補に指名確実なドナルド・トランプ前大統領(77)はEV奨励策に批判的なことで知られ、“補助金頼み”の普及策が行き詰まる恐れもある。
メルセデス・ベンツが2021年に発表した「完全EV化」の計画は、「25年までにEVのシェアを最大50%にする」と想定し、「実質的に20年代の終わりまでにEVに切り替わる」と示した。
だが、同社は2月22日の決算発表で、EVについて「20年代後半には全体の売り上げの最大50%に達する」と当初見通しから鈍化させた。
35年までの「完全EV化」を掲げる米ゼネラル・モーターズ(GM)も、「顧客を失う」として、ハイブリッド(HV)車を導入するよう有力販売店に迫られていると米ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)が報じた。
同社のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)はロイター通信に「EVの成長ペースが鈍化しているのは事実であり、それによってある程度の不確実性が生じている。当社は需要に見合った生産を行う」と述べた。
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