「一畑百貨店」65年の歴史に幕 島根から百貨店が消えた (3/3 ページ)

» 2024年03月14日 12時28分 公開
[産経新聞]
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厳しい地方百貨店

 日本百貨店協会の資料によると、東京23区や大阪市など10大都市を除く地方都市の百貨店の数は平成18年には182店舗あったのが、令和元年には127店舗に。その後も減少傾向で、今は110前後にまで減るなど苦境が続く。7月にも岐阜県の高島屋岐阜店が閉店予定で、全国で百貨店のない県は4つとなる。また、百貨店が1つしかない都道府県は10以上あり、新たな百貨店空白県が生まれることも危惧されている。

photo 一畑百貨店の閉店で百貨店がなくなる島根県。百貨店空白県は3県目となる

 一方で経済産業省が3年に開いた百貨店研究会の報告書では百貨店を「地域社会との連携・社会的課題解決に向けた重要プレイヤー」と位置づけ、地域経済への貢献の可能性も指摘された。

 長らく島根で暮らしてきた無職男性(75)は「一畑ができたころは、県内にも活気があった。美術展や各地の特産品展など、一畑で初めて目にするものも多かった。直接目で見て買い物をして、都会の雰囲気を知る喜びがなくなるのはさみしい」と惜しんだ。(藤原由梨)

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