「エンゲル係数」40年ぶり高水準 国民生活は厳しくなっている?

» 2024年03月25日 18時05分 公開
[ZAKZAK]
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 国民生活が厳しさを増している。日本銀行は今週、賃金と物価がそろって上がる好循環の実現が見込めるとして「マイナス金利政策解除」に踏み切ったが、家計の消費支出に占める食品の割合を示す「エンゲル係数」は2023年、40年ぶりの高水準に達した。世論調査でも物価高での苦境を示す数字が出ている。

 総務省の家計調査によると、昨年のエンゲル係数は27.8%で、同数字だった1983年に並び、22.9%で最も低かった2005年に比べると4.9ポイント上昇した。

 エンゲル係数は05年を底に緩やかな上昇基調に転じ、新型コロナウイルスの感染拡大でレジャー消費が減った20、21年には27%台に到達した。22年は26.6%にいったん下がったものの、23年は1.2ポイントも急上昇し、現在の集計方式となった00年以降で最も高い水準となった。

 23年は、ロシアのウクライナ侵攻や円安ドル高などの影響で輸入小麦が最高値を記録した。ほかの輸入穀物や肥料などの価格高騰も続いてパンや菓子、麺類など食品の値上げが相次いだ。

 さらに内閣府が22日に発表した「社会意識に関する世論調査」で、現在の社会で満足していない点を複数回答で尋ねると「経済的なゆとりと見通しが持てない」が昨年3月公表の前回より0.7ポイント増の63.2%で最多だった。2020年までは調査手法が異なるため単純比較できないが、08年に同様の質問を始めて以降最も多かった。

 日本で悪い方向に向かっている分野(複数回答)についても「物価」が69.4%でトップとなった。

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