メルカリが“置き配”シフト サイズ問わず一律料金のサービスを始める背景エコメルカリ便(2/2 ページ)

» 2024年03月28日 15時13分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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将来は「置き発送」も

 エコメルカリ便では置き配が前提となるため、再配達のリスクを大幅に下げられる。メルカリ試算では、1都3県でのエコメルカリ便の利用により、配達員の労働時間が年間約2.4万時間、CO2排出量が約69トン削減できるという。

 エコメルカリ便の発送は、ローソンや駅構内などに設置されたスマリボックスから行う。荷物は購入者の自宅など指定場所に置き配される。現在スマリボックスは関東・中部・関西の主要都市を中心に3000カ所以上に設置されており、今後さらに拡大していく計画だ。三菱商事の砂田重文物流開発部長は「スマリサービスとしても、スマリボックス、そしてスマリ宅配ボックスを通じて、今後も物流業界における課題を解決していきたい」と述べた。

三菱商事が展開する非対面発送サービス「スマリ」。ローソンに食品などを配達するトラックの帰り便に荷物を積み込むことで、コスト削減を実現する仕組み

 メルカリは、今回の新サービスを1都3県でスタートし、今夏までに東名阪エリアまで対象を広げる予定。将来的には、置き配に加えて自宅から発送できる「置き発送」のような新たな形も検討したいとしている。メルカリでロジスティクスを担当する進藤智之執行役員は「置き配が配送方法として世の中に定着してきたように、自宅にいながら発送できる置き発送も新たなスタンダードになり得る」と展望を語った。

 物流は、EC市場の拡大などを背景に大きな転換期を迎えている。労働力不足や環境配慮の必要性が叫ばれる中、メルカリのエコメルカリ便のような取り組みは、物流のあり方を変える一つのきっかけになるかもしれない。同社が掲げるサステナブルで利便性の高い配送の実現が、業界にどのようなインパクトを与えていくのか注目したい。

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