カラオケ、洗濯、セルフフォト…… 無人ジム「チョコザップ」が続々と新サービス コンビニみたいな進化を遂げている背景長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/3 ページ)

» 2024年04月03日 10時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 RIZAPグループの連結子会社であるRIZAPが、2022年7月に開始した定額制のコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」。3月28日から、従来のフィットネスジムにとどまらない、7種の新サービスを投入すると発表した。

さまざまなサービスを投入している「チョコザップ」(撮影:筆者)

 新サービスとは「カラオケ」「洗濯・乾燥機(ランドリー)」「ピラティス」「セルフフォト」「キッズパーク」「トレサポ」「chocoZAPメディカル」だ。これらのサービスは全て、月額3278円で利用できる。

月額3278円でフィットネスジムの枠にとどまらないサービスを提供している(同前)

 4月時点でカラオケは20店、洗濯・乾燥機は70店など店舗数は限られているものの、12月までに各サービスとも導入店舗は大幅に拡大する予定だ。中でもピラティスは1000店舗への導入を予定している。

開始から1年半ほどで会員数は100万人超

 チョコザップは、コロナ禍によって、従来のフィットネスジムが休業を余儀なくされる中で誕生した。同グループの主力で対面型の「RIZAP」も同じ影響を受けたことにより“非接触性”を高めたジムができないかと考案した無人で24時間営業の新業態だ。会員になれば全国どこの店でも使える。

 22年7月に1号店を出店して以来、「簡単」「便利」「楽しく続けられる」というコンセプトが、コロナ禍の収束に伴う健康意識の高まりの中で多くの人々の支持を受けて怒涛(どとう)の勢いで店舗数を拡大。24年2月14日時点で店舗数は全国に1333、会員数は約112万人を数える。

初心者でも気軽に使えることが、コロナ禍明けのニーズに刺さった(出所:プレスリリース)

 チョコザップでは、トレーニング用のウェアに着替えず、普段着や仕事着のままで、マシンを使ったトレーニングができる。会社の昼休みの食後、5分のスキマ時間を使って、スーツを着たまま運動をしてオフィスに帰る――といった使い方も可能だ。主婦が買い物のついでに、少々の運動をこなすケースもあるだろう。

 その一方、通常のフィットネスジムにあるようなプール、スタジオといった広いスペースをとる設備はチョコザップにはない。現状はシャワー室も設けていない。「マシン特化型」という点で競合と見られる業態はあるが、チョコザップの強みは無人の運営で人件費が掛からない点だろう。今までフィットネスジムを使ったことがない人を主たるターゲットとしている点で、リーチする顧客層も異なっている。

 RIZAPグループの瀬戸健社長は「先進国の中で日本のフィットネス人口は際立って低く、3%に過ぎない。チョコザップでは残りの97%の未開拓な領域を取りに行く」と意気込む。つまり、従来の狭いフィットネスユーザーの市場で限られたパイを奪い合うのでなく、今までフィットネスに興味がなかった広大なゾーンにアプローチしているところが、競合他社と発想を異にする。

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