カラオケ、洗濯、セルフフォト…… 無人ジム「チョコザップ」が続々と新サービス コンビニみたいな進化を遂げている背景長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/3 ページ)

» 2024年04月03日 10時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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官民連携で過疎地域のコミュニティ活動にも活用

 チョコザップの現時点の月額は3278円であり、ここまで紹介したようなプログラムを考えると、非常にリーズナブルなサービスといえる。新サービスの発表会で瀬戸社長は「これからは、チョコザップが社会にとって必要不可欠なインフラになっていきたい」と力を込めた。

 チョコザップが標榜するコンビニは、さまざまなサービスを付加して、社会生活に不可欠なインフラとなっていった。スマホにしても、当初の携帯電話の領域を超える便利な機能が加わって、もはや生活のインフラとなっている。

 チョコザップも「ジムだけど運動をしなくても良い」という新発想で、旧来の枠にとどまらない便利な多種多様の機能を備えた。社会的課題の解決に寄与し、不要不急の施設ではなく、コンビニやスマホのような社会インフラになることを目指している。

 チョコザップの店舗は、一般的なコンビニの広さと同様の約40坪を標準に展開している。官民連携も進んでおり、山間の過疎地域である兵庫県養父市にある店舗は約17坪と狭小であるものの、約300人が入会。地域の人が気兼ねなく集まれるコミュニティ形成の場になっているという。

 「高齢者がなかなか集まれる場所がない。病院はコロナ禍で行きにくくなった。金銭無担を気にする人も多いが、チョコザップは月額3278円で毎日、カラオケも楽しめる」と瀬戸社長は話す。カラオケ専門店が進出しにくい、高齢化が進んだ過疎地にこそチャンスがあると手応えを感じている。

 チョコザップ事業は、先行投資のため、23年度第4四半期から3四半期続けて約30億円もの巨額赤字を計上した。しかし、24年度第3四半期は、運動以外のサービスを強化した効果が出て、会員数が増加。12億円弱の営業利益が出て、黒字に転じている。今後は利益が拡大していく見込みで、見通しは明るい。

 まずはフィットネスジムを利用する人の裾野を広げようとする、RIZAPグループの戦略は、10年後、20年後の業界の発展を見越した戦略といえそうだ。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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