経済を支えているのは誰か? 大企業だけではない現実(2/2 ページ)

» 2024年04月05日 08時31分 公開
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 配当増は株高を支えるし、配当金は国民所得を押し上げるではないか、との見方もあるだろう。だが、そもそも株高で潤うのは主として富裕層だ。それに全上場企業株式のうち3割以上は外国人が保有し、配当金は海外に出る。実体経済向上のためには、家計所得と設備投資を増やすことが先決だ。

 もう一つ、雇用数をみると、法人企業統計でみた昨年末の従業員数は大企業720万人に対し、中小・零細企業1916万人である。全産業の従業員数に占める割合は大企業21%、中小・零細企業57%である。残るのは中堅企業で22%となる。

 ここで気になるのは、中小・零細企業に対するネガティブな見方が経済メディアで目立つことだ。収益を挙げられない企業を「ゾンビ」だと呼び、新型コロナ時の無担保・無利子の「ゼロゼロ融資」打ち切り後の倒産、廃業は自然淘汰の法則とばかりに論じる。大企業が国内で投資や賃金・雇用を増やすわけではない現実を無視している。 (産経新聞特別記者 田村秀男)

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