新築マンションの価格上昇が続く 人気物件の特徴は?(2/3 ページ)

» 2024年04月16日 10時25分 公開
[産経新聞]
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郊外より駅チカに需要

 新築マンションの価格上昇は、近年の資材価格の高騰なども一因となっている。ただ、見逃せないのは新築マンションを購入する、主に若い世帯の生活スタイルの変化だ。

 かつて、主に夫が企業に勤めに出て、多くの妻が専業主婦、または住まいの近くでパートなどの短時間労働を行っていた時代においては、より廉価で、鉄道駅まではバスなどで通う不便はあるものの、都心に比べて自然も多くのびのびと暮らせるイメージがある郊外型のマンションなどに需要があった。

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 しかし笹原氏によれば、「現在は夫婦が共に正社員などで長い時間働くことが主流になっており、子育てと仕事を両立するために、通勤が便利な駅に近い優良な物件でなければ売れない」状況になっているという。いわゆる夫妻で高収入を得ている“パワーカップル”がマンションの購入主体となっているためで、1戸当たりの単価も上昇しているというわけだ。

 このような状況は、新築マンションの発売戸数からも鮮明に見て取れる。郊外などに建設された、大規模マンション群などの需要が高かった平成8年に4万4430戸を記録した近畿2府4県の新築マンションの発売戸数は、令和5年は1万5385件となり、実に3分の1に激減している。新築マンションの発売戸数の減少は、少子高齢化も「要因になっているだろう」(笹原氏)とみられる。

 総務省が昨年4月に発表した人口推計(令和4年10月1日時点)によれば、近畿2府4県はいずれも前年より人口が減少し、高齢者層の割合が高まる傾向が鮮明になっている。新築マンションは、子育て世代や、今後子育てを検討する若い夫婦などが主な購入層とされ、そのような人口をめぐる状況が、販売数の減少をもたらしているとみられている。

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