「ダークパターン」とは何か 大企業も平気に使っている背景信頼を失う「愚かなやり口」(1/3 ページ)

» 2024年04月18日 07時30分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。


 ダークパターン(Dark pattern)とは、Webサイトにおいて「ユーザーが無意識に不利な行動を取るように設計された、悪意のあるデザインや表記」もしくはそれらを使う手法のこと。要はユーザーを欺くためのやり口のことだ。

 米プリンストン大学が主なダークパターンを7種類に分けた分類を2019年に示している(その後もっと細分化したものも考案されているが、このくらいの分類数のほうが実用的)。ユーザーとしてはこれらをあらかじめ知っておくと、「うっかり騙される」可能性を下げることができる。

パターン1:Sneaking(こっそり)

 ユーザーにとっての不利益や望ましくないことなどを意図的に隠すやり方。本来ならユーザーが選ばないはずの行動に誘導することを狙う手法。例えば欲しい商品を注文したら説明もなしにオプション商品が紛れ込んでいて自動で選択される、といったものだ。

パターン2:Fake Urgency(緊急性偽装)

 事実と異なる締め切りを示して焦らせることで、購入や申込などに至らせるやり口。例えば、「まもなくセール終了、お急ぎください!」といった表示やカウントダウンタイマーでユーザーを焦らせながら、実際にはセール終了時期が開示されていないといったケース。ちなみに「今だけ入会費無料キャンペーン!」的なものをずっとやっている場合もこれに当たる。

パターン3:Misdirection(誤誘導)

 文章やデザイン、心理などを利用して、ユーザーに特定の選択肢を選ばせる/選ばせないようにする手法。例えば、選択画面で「私は○○しないことを、希望しません」のようにわざと紛らわしい案内をすることや、「いいえ」の部分をグレーアウトしたデザインにして選択しにくくする手法もこれに該当する。

パターン4:Fake social proof(社会的証明の偽装)

 事実と異なる他人の行動や推奨を根拠としてユーザーの購入意思決定に影響を与える手法。例えば、その商品を多くのユーザーが閲覧しているように見せかけたり、(Amazonなどでよくあるが中国辺りの出品者が)「サクラ」による誇張ユーザーレビューで人気が高いように見せかけたりするケースがこれに該当する。

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