新型「やくも」登場で消える国鉄特急マーク 「輝く逆三角形」誕生秘話(2/3 ページ)

» 2024年05月13日 11時41分 公開
[産経新聞]
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 6月下旬に当選を伝えられた辻本さんは「びっくりした。えらいことになった」。デザインについては「速さを売りにする特急。当時あった丸や四角でなく、ぱっと飛び立つようなスピード感を表現しました」。金と銀の色を使ったのは「車体の色に関係なく輝くから」と説明する。

photo 辻本さんがデザインした国鉄特急シンボルマーク。譲り受けて辻本さんのデザイン事務所で保管している=大阪市中央区

 高校を卒業し、三重県上野市(現伊賀市)から、実家の看板・塗装店を継ぐため、大阪の会社に「修業」で入社したばかりのときだった。月給6千円のところ、当選賞金5万円と会社からご褒美として3万円が入った。「高い物を買った覚えはありません。食べるのもやっと。普通に生活費になったのでは」。これをきっかけにデザインの道を歩み始め、26歳で大阪市内に事務所を立ち上げた。現在はホテルチェーン大手の「アパホテル」のデザイン監修を担当している。

 シンボルマークは「こだま」だけでなく、485系、583系、キハ82系など、その後に登場するすべての特急型電車、気動車につけられた。「仕事で北陸へ『雷鳥』に乗って行くときなど、感慨深かったですね」と振り返る。

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