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「データ主導の人事」に必要な3つの役割 人材分析を戦略に活用するには?(1/2 ページ)

» 2024年05月14日 17時30分 公開
HR Dive

人事チームの3つの重要な役割

 CHRO(最高人事責任者)は、離職率やパフォーマンス、従業員の意識に関する洞察を得るために、ますます人材分析に頼っている。Gartnerの調査によると、人事リーダーの78%は「4年前と比較して、組織は意思決定においてより多くの人材データを重視している」と述べている。2019年には、この割合は48%だった。人事業務をデータ主導のものにするためには、3つの重要な役割が必要だ。

 CHROは人事業務をデータ主導のものにしようと取り組んでいるものの、組織は人材分析の効果を最大化するのに苦労している。2023年9月に行われたGartnerの調査(※1)によると、人事リーダーの71%は「現在の人材分析チームの構造と能力が、人材分析の効果を制限している」と報告している。

(※1)調査企業であるGartnerのアレックス・チェルトフ氏はシニア・リサーチスペシャリストであり、ティム・パスト氏はアドバイザリーを担当するディレクターだ。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

 さらに、人材分析のリーダーは、戦略目標を達成するために必要なスキルを持ち合わせておらず、人事部門の多くがデータリテラシーの問題を抱え、技術的なスキルの習得が困難になっている。2022年6月に行われたGartnerの調査によると、人材分析のリーダーのほぼ4人に3人が、「戦略目標を達成するためには新しいスキルが必要だ」と答えている。

 成功を収める人材分析チームを構築するために、CHROは、3つの重要な役割を果たす人材の育成に力を入れるべきだ。その3つとは、分析の専門家、意思決定を促進する者、戦略コンサルタントである。

 このガイダンスに従うことで、人材分析は人事部門の意思決定に影響を及ぼす。また、客観的でタイムリーなアドバイスの提供により、人事部門全体のイノベーションを実現する中心的な役割を果たし、組織全体におけるCHROの信頼性を高めるために機能する。

分析の専門家

 CHROは、スキルベースの組織を構築するためのデータ活用にますます注力している。一方で、人材データを維持し、効果的に分析し、労働力計画やその他の戦略的活動への統合的なアプローチをサポートするために、人材分析チームには有能な分析の専門家が必要だ。分析の専門家を育成するために、CHROは人事部門に技術学習の文化を築かなければならない。

 人材分析チーム、学習と開発チームのリーダー間の連携を促進し、組織にとって重要な技術的スキルを特定し、スキルアップを支援するトレーニングプログラム、学習機会、目的に向かう道筋を開発することで、CHROは技術学習の文化を構築できる。組織がテクノロジーの進歩や、予測分析などの新たな価値を引き出す手法に遅れを取らないようにするためには、継続的なスキル開発が必要だ。

 分析の専門家には、人材データの分析と活用が求められる。彼らを成功に導くために、CHROには次の行動が求められる。

  • 人材テクノロジーおよび人材分析のチームリーダーと面談し、人事機能の将来を見据えた上で、技術的スキルの不足について話し合う
  • 学習と開発チームに対して、人材分析が新しい分析手法やテクノロジーを先取りできるような学習の道筋を構築するよう指示する
  • IT部門や中央のデータ分析チームとのローテーションプログラムを検討し、技術的スキルを借りて人材分析の成熟を促す
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