経理現場で不満爆発 作業約50時間増える試算も、なぜ?(2/2 ページ)

» 2024年05月24日 16時09分 公開
[産経新聞]
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罰則なく義務化が形骸化も

 負担が増えるのは企業だけではない。所得が少なく減税額が本来の税額を上回る場合は現金が給付されることとなり、その作業は市区町村が担う。一部では、給与取得者の大半で給付が発生する見込みの自治体もあるという。都内企業の経理担当者からは「最初からすべて現金給付で対応してもらった方が、企業と自治体の双方の作業が楽になる」と不満の声が漏れる。

 大手税理士法人「辻・本郷税理士法人」の菊池典明税理士は、「今回の定額減税制度を理解するには数十ページに及ぶ手引書を読み込まねばならず、従業員などからの質問対応、システム反映状況など目に見えない負担も生じる」と指摘。「フリーの試算(約40〜52時間の事務負担の増加)以上の負担がかかるのではないか」とみる。

 また、菊池氏は減税額の給与明細への明記義務化についても、「通知が直前すぎる」と苦言を呈す。給与明細に減税額明記をしなかった場合も罰則は科されないといい、「義務化は形骸化している」と強調する。(西村利也)

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