絶対に忘れてはならない視点がもう1つあります。
リテールメディアは、購買データを活用したターゲティングやその後の検証が可能なメディアです。他のメディア・広告が「興味関心」「意向・好意度」といった消費者の移り気な気持ちをデータとして収集しているのに対して、購買データは「消費者が実際にこんな行動をした」という意思決定そのもののデータです。
うまく活用できれば、メーカーのマーケティング部は予測や仮説といった不確実性の高い判断材料に頼らず、実際に起きた事実に基づいたマーケティングが可能になります。かなり高い精度でメーカーが重要だと考えるメッセージを消費者に届けられるでしょう。
一方で小売業者の立場には、顧客(消費者)の購買データをリテールメディアを通じてメーカーに提供する以上、消費者にとって快適な購買体験を保証する責任があります。
しかし、実際にはそうなっていないリテールメディアが多くあるように感じます。筆者自身、とある小売業者のメディアでずっと女性向け商品の広告に追いかけられています。そのメディアは筆者を男性ではなく女性と認識しているのか、属性をどのように分析しているのか分かりません。いずれにしても、本当の意味でリテールメディアとして機能しているとは言い難いでしょう。
もし、この程度の活用であれば、そこにはリテールメディアならではのベネフィットは存在せず、他の凡百のネットワーク広告に巻き込まれ、低単価勝負を強いられます。
Walmartに出稿する広告がCPM20ドルという驚きの値段をつけられている理由は、彼らがリテールメディア固有のベネフィットを広告主に提供しているからに他なりません。
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