マーケティング・シンカ論

学習アプリなのに「ネタ全開」……万バズ連発の「デュオリンゴ」、マーケ戦略の裏側(1/4 ページ)

» 2024年05月14日 12時30分 公開
[岡安太志ITmedia]

 X(旧:Twitter)などでたびたび注目を集めている「緑のフクロウ」を見かけたことがあるだろうか? 語学学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」の公式キャラクター、「Duo(デュオ)」だ。

 語学学習アプリのアカウントと聞くと真面目なイメージを思い浮かべがちだが、同アカウントの投稿はそうしたイメージとは無縁だ。日本のネットミームに敏感で、一般ユーザーからのリプライ(返信)にはフランクに対応し、時には“かみつく”こともある。一方、アプリの宣伝はほんの申し訳程度にとどまる。

 一体どのような戦略の下、公式SNSアカウントを運用しているのか。DuolingoのCMO(最高マーケティング責任者)、マニュー・オーサード氏に単独取材を行った。

マニュー・オーサード氏 Duolingo CMO。SONY PlayStationでEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)全域にわたるデジタルマーケティング機能の開発に従事したのち、Spotyにてグローバルマーケティング戦略をリード。2020年9月にDuolingoに参画し、現在はCMOとしてDuolingoブランド構築とグロースを担当

日本で最も「稼ぐ」教育アプリ

 Duolingoは英語のほかに、中国語、スペイン語、フランス語など42言語で100以上のコースを基本無料で提供している。リリース以降成長を続け、グローバル月間アクティブユーザー数は8800万人、日次アクティブユーザー数は2600万人を突破。現在では語学学習アプリのシェア9割を占めている。

 日本に本格進出したのは2020年。米モバイルデータ分析ツール「Data.ai」の調査によると、日本国内における2023年のダウンロード数および収益で、教育アプリカテゴリーランキング1位となった。

 成長を支えるのは、同社の「ソーシャルメディアファースト」なマーケティング戦略にある。米国では、アメリカンフットボールの優勝決定戦「スーパーボウル」で行った“5秒間のCM”や、出演者全員が異なる言語を話す恋愛リアリティーショーを模したエイプリルフールキャンペーンなど、ソーシャルで話題を集める施策を打ち、ファンを増やすことに成功している。

恋愛リアリティー番組を模した企画『ラブ・ランゲージ』。出演者は全員違う言語を話すため、意中の人の言語をDuolingoで学ばなければパートナーをつくれない。放送終了までにパートナーを見つけられなければ、審査員である緑のフクロウに脱落を言い渡されてしまう――という設定だ

 2023年のSNSにおける年間インプレッション数は30億超、特にTikTokの影響力は大きく、フォロワー数は1000万人を超えている。

 Duolingoの公式SNSアカウントの特徴として、徹底的に親しみやすい人格を作り出したことが挙げられる。通常、ブランドには「一貫性を持たせる」のがマーケティングの定説だ。一方、Duolingoでは“一貫性”とは一つのトーンや一つのパーソナリティーではなく、もっと多くの面があると定義。

 キャラクターには人と同じように多様な側面を持たせ、ある日はハイテンションだったり、またある日は穏やかであったり、レッスンを行わない人を追いかけ回すクレイジーさを持ち合わせていたりもする。

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