リテール大革命

国内リテールメディアの問題とは? ただのトレンドで終わらせないために(2/4 ページ)

» 2024年06月17日 13時20分 公開

“お付き合い”の金が使われている

 私はこれを憂慮すべき事態だと感じています。まず、この方法で増やせる収益には限界があります。バイイングパワーで引き出せるメーカーの予算の多くはいわゆる「流通対策費用」であり、マーケティング全体における広告費ではないケースがほとんどだからです。

 流通対策費とは、値引きや協賛金、リベートなど、流通構造の商流の中で発生する費用の総称です。この流通対策費は小売業者のために確保されているものですから、もともと小売業者に充てる予算が置き換わっただけで、リテールメディアへの投資として新たな予算が確保されているケースは少ないといえるでしょう。

 新たな投資を呼び込むためには、メーカーが大きく確保しているマーケティング予算やメディア費を投資させる必要があります。しかし、前述のバイイングパワーでリテールメディアの出稿をさせるという活動は、メーカー側のマーケティング部の各種KPIを達成させることと、直接的なつながりはありません。

 メーカー側がマーケティング面において何を達成したいのか、それを理解できなければ的を射た提案ができないため、マーケティング予算を投資させるのは難しいと言わざるを得ません。

メーカーが期待するのは購買データドリブンの深いインサイト

 広告主であるメーカーがリテールメディアに求めているものは、TVCMや大規模なSNSキャンペーンでの成果とは大きく異なります。

 リテールメディアは他のメディアに比べて購買に近いタッチポイントでのメッセージングが可能です。それはすなわち、

  • 購買データ活用だからこそ発見できる顧客動向の分析/検証、深いインサイトの提供
  • 継続的な効果の可視化
  • 広告としての勝ち筋の再現性

 などが期待されているということです。実際、Walmartが広告主に提供するこれらの要素は目を見張るものがあるといわれます。日本のリテールメディアはどこまで追い付けているでしょうか。

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