富士通、鉄塔点検にドローンとAI導入 DXで高所作業の負担軽減目指す

» 2024年06月26日 13時13分 公開
[ITmedia]

 富士通は6月26日、電気通信設備の保守点検事業などを展開するケーネス(東京都港区)と共同で、ドローンとAIを活用した鉄塔点検の実証実験を行ったと発表した。高所での点検業務の負担軽減が目的だ。

photo 富士通、ケーネスと共同でドローンとAIによる鉄塔点検(画像は富士通公式ホームページより)

 2023年10月から2024年3月にかけて、国土交通省関東地方整備局管内の通信用鉄塔において実施した。

 国交省が保有する通信用鉄塔は、全国に約1000基設置されているが、多くが建設後数十年経過しており、老朽化への対策が課題となっている。また、通常の点検は作業員がロープなどでぶら下がりながら目視でボルトのゆるみやさび、亀裂の状態を確認する高所作業となっていることから、安全管理の面でも業務の改善が求められているという。

photo ドローンとAIを用いた点検の流れ(出所:プレスリリース、以下同)

 実験は高所での危険を伴う点検業務の負担軽減を目的として実施。鉄塔の劣化度判定におけるドローンとAIの有用性を検証した。

 はじめにケーネスが、高解像度カメラを搭載したドローンを用いて通信用鉄塔の外観を撮影。その後、富士通のAIによる画像解析で、得られたドローン画像からさびの箇所を抽出し、規定の基準により劣化度を4つのレベルに区分した。

 部材ごとの劣化度と合わせて、鉄塔全体の評価を実施した結果、通常の目視による点検と同様に劣化度を判定できていると確認した。さらに、さびの検知結果を3Dモデル上で管理することによって、効率的な状況把握を実現したとしている。

photo 鉄塔の部材ごとの錆検知のイメージ

 富士通は、「この実験の結果をもとに、今後も通信用鉄塔の点検業務におけるDXを支援していく」とコメントしている。

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