システム導入だけで本当にいいの? 「写真」を例に考える“真のDX”

» 2024年06月28日 07時00分 公開
[上間貴大ITmedia]

ITmedia デジタル戦略EXPO 2024夏 いよいよ開幕!

経営×IT×事業のコラボレーション――変革を進めるためのオンライン展示会

業務効率化

開幕が迫った「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」。デジタル経営戦略やAI活用、業務効率化など10カテゴリーをラインアップし、ビジネスパーソンが“今”知りたいデジタル戦略の最前線を探求します。本記事では、見逃せない基調講演の内容を一部お届けします。

 DX推進が叫ばれて久しいが、単なるデジタルツールの導入で終わっている企業も多いのではないか。それでは業務効率化や業務改革の効果は得られにくく“真のDX”とは呼べないはずだ。

 ITmedia主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」(7月9〜28日)に登壇する武内俊介氏(BYARD代表取締役CEO/税理士・業務設計士)は、「自動化やペーパーレス化、SaaSの導入、業務効率化などがDXとしてまとめて論じられがちです。ただし、システムを導入する=DXではありません」と警鐘を鳴らす。

業務効率化 BYARD 代表取締役CEO/税理士・業務設計士 武内俊介氏

 「デジタル化とデジタルツールの導入は切り離せませんが、ツールの導入だけを追い求めるとDXはうまくいきません。あくまでDX実現に向けた過程の一つに過ぎないのです」

 武内氏が「ツールの導入と併せて検討すべき」と話すのが、業務の再設計だ。ではどのように進めていけばよいのだろうか。武内氏の講演の一部をお届けしたい。

写真を撮る概念が変わった

 もはや多くの人々に浸透したDXという言葉だが、デジタル活用には3つの段階があると武内氏は説明する。

 1つ目がアナログ情報をデジタル化する「手段のデジタル化」、2つ目がデータ入力やデータベースへの格納など、データを活用しやすくする「プロセスのデジタル化」だ。

 これらを実施した上で実現できるのが3つ目の段階、真のDXとなる「ビジネスのデジタル化」だと武内氏は話す。ビジネス上の全ての活動をデジタル上で実施するため、収益構造やビジネスモデルそのものを再設計する必要があるのだ。

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 武内氏は、DXに至るデジタル化の3段階を「写真」に例えて説明する。

 手段のデジタル化は、フィルムカメラがデジタルカメラに置き換わった段階を意味し、プロセスのデジタル化は、撮影した写真をPCやスマホで共有できるようになった状態と言える。

 「この流れを経て、最近では写真を撮る行為に対する人々の考え自体が変化しました。『写真を撮ったから送る』のではなく『SNSでシェアするために写真を撮る』ようになったのです。ここまで来て初めてDXが実現したと言えます」

 写真のみならず、音楽や書籍もDXが進んでいるが、これらはあくまでB2Cの話だ。ではB2Bの文脈でDXを考えるとどうなるのか、武内氏は以下のように話す。

 「これまでITは、生産性向上やコスト削減という文脈でしか語られてきませんでした。しかし、DXを推進した後にはさまざまな場面でデジタルが使えるようになります。ITを使って競争力を高め、ビジネスを変質させるベースとなり得るのです」

 ツールの導入後、業務の運用を再構築するなど改善を続け、ビジネスをアップデートしていく――この過程を繰り返すことで、真のDX実現に向けた“一歩目”を踏み出したと言えるだろう。

 では具体的にどのようなフローを踏み、社内の理解を得るためには何をすればよいのだろうか。詳細は、武内氏の講演をチェックしてほしい。

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