まず、コンテンツを「消費者接点の形態」と「消費特性」の2軸で分類・整理する(図表1)。消費者接点の形態は、書籍や映像・音楽そしてグッズなど関連商品が並ぶ。特性は「日常」と「非日常」で分類する。映像で考えるなら、TVアニメや配信アニメは日常的に消費するものであり、映画館や応援上映は非日常消費となる。コンテンツマーケティングでは、この「非日常消費」へ誘導することが大きな鍵となる。
コンテンツがまだ新しく、コンテンツそのものに非日常要素を持つ場合は別だが、日常的に消費可能なコンテンツとなった場合、そこからの大きな収益は見込みにくい。特に日本は映像の無料視聴環境が整っていることも影響している。
漫画・アニメに明るくない人は、スポーツに例えると分かりやすいだろう。日常的に放送・配信しているプロ野球やJリーグを視聴している人は多くいるが、このチャネルから、各球団やクラブの収入に貢献する消費を行っている人はほぼいないだろう。
しかし、いざスタジアム観戦となると、入場料や飲食の消費が見込める。スタジアムという非日常的な雰囲気も後押しとなり、グッズを購入する人も増える。これが非日常消費へ誘導する理由として代表的な例だ。
「漫画・アニメ×音楽ライブ」も同様である。上述した漫画・アニメを元にしたライブイベントやミュージカルのイベントでは、アニメや映画で描かれたキャラクターの活躍が現実のステージで再現されており、ファンは作品の世界にさらに深く没入できる。それは先述したスポーツの例で示したように、会場限定グッズなどの関連商品への誘導も行いやすくなり、収益増へとつながる。また、このようなイベントはファン同士の交流を促進し、ファンコミュニティーの結束を強化する役割を果たす点も特筆すべき点だ。
コンテンツを成功に導くには、上に提示した図のようにコンテンツ形態の軸と日常/非日常の軸で整理した面をバランスよく埋めていくことが重要となる。現在の市場環境では、日常消費だけでは十分な収益をあげられず、非日常消費だけでは認知度・知名度で後れを取るためである。
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