京急蒲タコハイ駅の騒動が起きる前から、駅のホームを利用した居酒屋イベントは期間限定で過去に何度か開催されてきた。
JR総武線・両国駅のホームでは、燗酒とおでんなどを楽しむイベントが何度か開催されている。
2016年から、京阪電気鉄道・中之島駅で、ホームと車両が居酒屋になるイベントも実施され、サントリーがビールを提供している。
駅のホームどころか、電車の車両そのものが居酒屋になる、ビール列車、ワイン列車などの企画列車も運行されている。
また、京急は久里浜線終点の三崎口駅を「三崎マグロ駅」に変え、三浦半島の観光振興を図るイベントを実施している。2018年には、人気漫画『北斗の拳』とのコラボで上大岡駅を「上ラオウ岡駅」、京急蒲田駅を「京急かぁまたたたたーっ駅」などに変えるといった取り組みもしてきた。イベントでの駅名変更による集客は、京急のお家芸でもあった。
そうした実績を積み重ねてきた上での京急蒲タコハイ駅イベントだった。
これまでのイベントは“愚行”ではなくて、今になって“愚行”と新しく解釈された形で、環境の変化が起きたと考えられる。
その変化とは、2月19日に厚生労働省が発表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」だ。当該ガイドラインは、「避けるべき飲酒等について」として、5つの項目を挙げている。
このうち、酒に関する産業に影響を与えそうなのは、「一時多量飲酒(特に短時間での多量飲酒)」だ。いずれ居酒屋・パブなどの飲み放題は続けられなくなると言われている。さらに、将来的には公共の場でのさまざまな酒の提供に関する禁止事項が、タバコと同じように法制化される可能性がある。
2020年4月に改正健康増進法が全面施行されたことで、全ての公共施設が原則屋内禁煙となった。望まない受動喫煙による、肺がんなどの健康被害から非喫煙者を守るのが目的だ。
厚労省のバックにはWHO(世界保健機関)がいて、タバコの次は酒の規制だと、飲食関係者の間では言われてきた。いよいよ本格的に動き出した印象がある。
物議の「酔えるグミ」、結局何が問題だったのか 専門家と弁護士に聞く、炎上の「根本原因」
2つの駅がある蒲田は、どんな街なのか?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング