ビール列車があるのに、なぜ「京急蒲タコハイ駅」は非難された? 現地で聞いた「何が悪かったのか」の声長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2024年06月29日 09時51分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

酒類のマーケティング全てを否定しているわけではない

 ASKの公式Webサイトで、「『京急蒲タコハイ駅』への駅呼称変更とホームでの酒場開店の中止を求める申し入れ書に関するお問い合わせについて」(6月18日付)を閲覧してみた。そこでは、酒類業界団体が共同で定めた「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」(1988年12月9日制定、2019年7月1日最終改正)について言及している。

 しかし、「今回の事例のように、駅名自体を酒類の商品名にして駅空間の仕様を変更することや、プロモーションの一環として駅ホームで酒場を営業することは、当時はまったく想定していなかったため、自主規制項目に規定されていない」と明記している。

 つまり、サントリーと京急は、法、条例はもちろん、自主基準をも破っていなかったのだ。

タコハイ

 お酒を使った街の活性化イベントは、ビールを楽しむ「オクトーバーフェスト」など、公園のような公共の場で数多く開催されている。こうしたイベントが、「公共性を完全に無視した愚行」として、今後は開催されなくなるのではないかという不安や疑念が、全国各地の商店街や行政からも聞かれるようになってきた。

 しかし、ASKは「酒類のマーケティングのすべてを否定しているわけではない」としている。今回は不特定多数が利用する極めて公共性が強い場といった駅の特殊性を勘案し、駅に限定した超法規・超自主基準の抗議、中止の要請だったと考えられる。

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