小林製薬が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを摂取した人の健康被害を巡り、因果関係が疑われる死者数の大半を厚生労働省に報告していなかった問題で、未報告だった人数を取締役会が把握していたことが7日、分かった。把握した時期は不明。取締役会が形骸化していたことが露呈し、コーポレートガバナンス(企業統治)が厳しく問われている。
死者数の厚労省への報告は3月末の「5人」から更新されていなかったが、6月中旬の同省からの指摘を受け、実際には同27日までに新たに170人分の相談が遺族から同社に寄せられ、うち76人について因果関係を社内で調べていることが判明した。
死者数は7月4日現在で、遺族からの相談件数が215人、このうち調査中が84人まで増えた。
同社は取材に、小林章浩社長のほか社外取締役4人を含む計7人の取締役会に「(人数を)適宜報告していた」と回答。具体的な報告時期や、社外取締役が「国に未報告」ということを知っていたかどうかについては、「回答を差し控える」と答えた。
関西大の亀井克之教授(リスクマネジメント論)は「(国へのこの件数の未報告は)許容できるレベルではない。結局は(社長ら執行役員で構成する)経営執行会議などで重要なことが決まり、取締役会は追認の場になっているのではないか」と指摘する。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング