毎年の猛暑が続く中、永谷園が定番商品のお茶漬け海苔を使った「新しい食習慣」を提案している。冷水や氷を用いた「冷やし茶漬け」だ。調理が億劫(おっくう)になりがちな夏でも簡単に調理でき、食べやすい点をアピールする。インテージSCIの調査によると、実際に「夏にお茶漬けの素の売れ行きが伸びている」という2023年のデータもあるという。
同社が冷やし茶漬けの提案を始めたのは2002年から。きっかけは商品企画担当の社員が「家族が冷たいお茶漬けを食べている」と話したことにさかのぼる。この食べ方が社内で大きな反響を呼び、「夏は冷やしで」をキャッチコピーとしたCMの放映につながったという。
冷やし茶漬けの作り方は、お湯や温かいお茶の代わりに冷水を注ぐだけ。しかし、CMを見た消費者からは「どうやって作ればいいのか」「何をかけるとおいしいのか」という問い合わせが多く寄せられた。
同社ではこれを逆手に取り、「もっとぴったりな飲み物があるのでは」という発想のもとに社内チーム「冷やし茶漬け試し隊」が発足。2024年6月12〜18日の7日間、SNSとメールマガジンで「お茶漬けに合いそうな冷たい飲み物」を募集した結果、850人を超える回答者から、延べ63種類が挙げられたという。
チームのメンバーは「回答の多くはお茶なのでは」と推測したが、結果としては梅しそジュースや薄めためんつゆ、強炭酸など、お茶以外の飲料が約半分を占めた。中にはハイボールや日本酒などのお酒、エナジードリンクも挙がったという。
寄せられた飲み物のほとんどをお茶漬けにかけて試食した結果、黒豆茶や麦茶、ほうじ茶などの香ばしさのあるお茶が「王道」のおいしさだったという。また、「コクがあり、まろやかな味わい」になったという無調整豆乳や、「もはやリゾット」になったというトマトジュースもおすすめだという。ちなみに「炭酸はイマイチ」だったそうだ。
広報担当者はこうした消費者のアイデアにヒントを得た販促について、「メーカー主導の呼びかけよりも反響がある」と話す。シンプルな商品だけに、消費者の中で潜在的にさまざまな工夫が凝らされており、シェアする余地も大きいのだろう。
同社の担当者は「引き続き、『冷やし茶漬け』のおいしい食べ方を模索していきたい」とコメントしている。
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