ペット関連市場が微増傾向にある。矢野経済研究所(東京都中野区)が調査結果を発表し、2023年度は小売金額ベースで前年度比4.5%増の1兆8629億円に達する見込みだ。
ペットフード協会によると、ペット関連市場の根幹であるペットの飼育頭数は伸び悩んでいるという。ところが、2022年度から2023年度にかけて、原材料などの高騰により、各企業が値上げを余儀なくされたことで、高付加価値品の提案や、飼育頭数が微増で推移する猫向け商品の投入によって売上高は増加傾向となった。
また、犬や猫の生体価格はコロナ禍前に比べ高騰していると見られ、価格帯の手頃な小動物や魚に生体販売の需要がシフトしてきているため、矢野経済研究所は「今後も引き続き小動物や魚の需要が見込める」と分析する。
ペットへの健康意識の高まりも市場伸長の要因となった。ドッグフード市場では、高価格帯商品の需要が拡大し、円安で輸出が追い風となっている国産フード、自然派素材や無添加を訴求した商品、肉の含有量が多い商品が好調に推移している。
キャットフード市場でも、猫がかかりやすい下部尿路疾患や腎臓の健康維持などを訴求した機能性フードの展開が一般的になった。飼育頭数が安定している猫関連市場に対し、メーカー各社は新商品投入を活発に行い、小売も猫関連売場を拡大させる傾向にあるなど、市場拡大の追い風となっている。
矢野経済研究所は、さらに一段高い価格帯のペットフード「スーパープレミアムフード」や、オーラルケア・デンタルケア用品、猫関連用品、小動物用品についても市場が拡大していくとみている。2024年度のペット関連市場は、前年度比102.1%の1兆9026億円と予測する。
調査は4〜6月にペットフードメーカー、ペット用品メーカー、卸売業者、小売事業者、ペット保険業者などを対象に実施した。
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