社風を理解してもらうため、新卒社員に商品開発の一部を任せる――。そんな取り組みを、ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が実施した。狙いについて、同社の広報担当者に聞いた。
PPIHグループの新卒社員が取り組んだのは、ドンキ(約330店舗)とアピタ・ピアゴ(約70店舗)で販売する大型ゼリーのネーミングだ。
この大型ゼリーは家庭やパーティーで楽しむことを目的にした商品で、容器はバケツのような形をしている。1.4リットルの水を入れた鍋を火にかけて、沸騰したら付属のオレンジゼリーの素を入れる。ゼリー液の粗熱がとれたら、容器に流し入れ、冷蔵庫で冷やして固める。7時間程度経過したら、容器から取り出して皿に盛りつけるという流れだ。
ゼリーは、底面の直径が約14.5センチ、高さが約11.0センチ、上部面の直径が約13.5センチ、重さは約1.5キロだ。パッケージでは「これひとつでパーティーが始まる!」「普通のゼリーのなんと約15個分のキングサイズ」とアピールしている。
この大型ゼリーの商品名を考えることになったのは、PPIH入社式第2部懇親会の場でのことだ。新卒社員が47グループ(1グループ6〜8人)に分かれ、30分間グループ内で意見を出し合いながら、大型プリンのパッケージにぴったりな商品名を考えるという企画だ。1番良いネーミングは実際に商品名に採用されると伝えた。ゲーム性を持たせる狙いがあったという。
なぜ、新入社員で商品名を決めることにしたのか。その点について担当者は次のように説明する。
「当社には権限委譲の社風が根付いています。ただ、新卒からすると、どこまで自分たちの意見が反映されるのか、どこまで権限が委譲されるのか、実感が湧きにくいと思います。
そこで、このコンテンツで権限委譲を実感してもらうことはもちろん、『自分たちが考えた意見が採用された』という『自信』につなげたかったという狙いがあります」
PPIHグループにとって「権限移譲」は大切な考え方だ。顧客のニーズに対応するため、仕入れや販売などの権限を現場に集中させることを重要視している。
この取り組みに参加した新卒社員からは「商品開発の仕事を実際に経験できたような気がして、良かった」「商品のネーミングを考えることの難しさを感じることができた」といった声が寄せられ、全体的に好評だったという。
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