しかし、近年の業績推移は大幅に悪化している。2020年2月期から2024年2月期の全社および長崎ちゃんぽん事業の業績は次の通りだ。なお、店舗のフランチャイズ比率はおおむね3割弱であり、海外にも進出しているものの店舗網のほとんどは国内店が占める。
全社売上高:472億円→340億円→339億円→377億円→402億円
全社営業利益:15.5億円→▲54.0億円→▲14.6億円→▲2.9億円→10.0億円
売上高(長崎ちゃんぽん事業):369億円→265億円→269億円→301億円→323億円
店舗数(長崎ちゃんぽん事業):704→615→599→577→570
2020年2月期末の時点で、リンガーハットは店舗の約6割をSC内フードコートに展開していたため、コロナ禍の2021年2月期と2022年2月期は出店先施設が休業や時短営業を余儀なくされ、大打撃を受けた。この間に店舗の閉鎖も進めたため、2024年2月期になっても売上高は回復していない。
規模だけでなく、既存店の業績も深刻である。各年度における前年比既存店客数を基に計算すると、2024年2月期の客数は2020年2月期比で81.7%と約2割減っているのだ。既存店の業績が以前の水準に回復していれば、全社売上高も今より回復していたはずである。
客足減の主な要因とされているのは、たび重なる値上げである。リンガーハットは人件費や原材料費の高騰に対応すべく、コロナ以前から値上げを実施してきた。看板メニューの長崎ちゃんぽんを例にとると、2011年10月には東京23区内の店舗で550円から590円へと値上げし、コロナ禍前後でも価格改定を繰り返した。この3月の値上げでは800円となり、もともと500円程度で食べられていた商品が現在では1.5倍以上の価格になっているのだ。
リンガーハットの顧客満足度はなぜ3年連続1位? ちゃんぽんで“ひとり勝ち”のビジネスモデル
お客が300万人増えないと割にあわない!? サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由を考察Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング