ミズノ、野球のボールが速くなる「ベルト」発売 どう実現した?プロダクトInsights

» 2024年08月07日 11時17分 公開
[ITmedia]

プロダクトInsights

日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。

 ミズノがちょっとユニークなベルトを発売している。野球用のベルトで、これを着用すると、球が約0.8キロ速くなるという(※)。

(※)野球部3チームで検証

 同商品はミズノ直営店及び公式ECサイトで販売。直営店では実際に体感できる場を提供し、野球競技者に訴求している。価格は1万1000円。

 商品名は「イージーゲイン ストレッチベルト」。従来の硬くて伸びづらいベルト(非伸縮の合皮仕様ベルト)だと、動作や体形によって股関節周りの可動域が制限されていた。こうした課題に対し、同社は「ストレッチの効いたベルトであれば解決できると判断して、開発を進めた」という。

球が速くなる野球用ベルトが登場(出典:ミズノ、以下同)

 商品化にあたって、苦労した点は「ストレッチ性と強度(コシ)の両立」だとか。単純に伸びれば良いというものではなく、柔らかすぎるとコシが失われホールド感がなくなってしまうそうだ。

 その苦労をどのように解決したのかというと、2種類のゴム材(外側には肌あたりの良いメッシュゴムを、内側には強度のあるゴムを芯に使用)を採用することにより、ストレッチ性と強度の両立を達成。また、縫製時にゴムを伸ばし付けすることにより、ほどよい反発力と縫糸の切れない適度なストレッチ感を実現させた。

 結果、ミズノの従来品と比較して、約14倍のストレッチ性を実現。これまで股関節にかかっていた制限が軽減され、動きやすさがアップしたそうだ。高いストレッチ性により、腰へのフィット感も従来品の約6倍に。プレー中の腰周りをサポートするだけでなく、座り姿勢でも腰周りのフィット性を確認したという。

ストレッチ性の比較(左)、「イージーゲイン ストレッチベルト」の柔らかさ
全体圧力の比較

 「イージーゲイン ストレッチベルト」着用時のパフォーマンスを野球部3チームで検証したところ、従来品と比較してピッチングでは球速が約0.8キロ、股関節の屈曲性は約6%アップすることが分かった。

ピッチング時の動作(イメージ)
イージーゲイン ストレッチベルト

 速い球を投げるには「腰を開かない並進運動」「その後の着地による鋭い骨盤の回転」「速い腕の振り」の3つの要素が必要だといわれている。本ベルトを着用することで、「股関節が深く曲がり、腰を開かない並進運動をしやすくなったため、球速アップにつながったと考えられる」(同社)

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