「100円セール」をやめたミスド V字回復の裏に3つの戦略あり(1/3 ページ)

» 2024年08月16日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 ミスタードーナツがV字回復を遂げている。2013年のピーク時と比較して300店舗以上を閉鎖し、事業売上高も500億円台から350億円台まで減少したが、コロナ禍で業績が回復し、再出店を計画している。

 日本上陸から50年以上がたち、少子高齢化も進んでいるが、なぜ今になって回復を果たしたのか。同社の取り組みを見ると、コロナ禍以前からの施策が効果を発揮していることが分かる。

V字回復を果たしたミスドの取り組みに迫る

米国発のブランド さまざまな競合を押さえ、地位を確立

 ミスタードーナツは、エアコンクリーニングで知られるダスキンが直営店とフランチャイズ(FC)店の運営を行っている。元はアメリカ発祥のドーナツチェーンだが、ダスキンの創業者が渡米した際、ドーナツの味に感動してビジネスチャンスになると考え、日本に持ち込んだ。

 1971年に国内1号店を構えたのち、3年後には早くも100号店をオープン。1971年に国内1号店を構えたダンキンドーナツが有力な競合だったが、ミスドの勢いを前に、1998年に日本から撤退している。ちなみに本国である米国にミスドは1店舗しかなく、日本とは反対にダンキンドーナツは9000店舗以上構えている。

 その後、2006年に日本1号店をオープンしたクリスピー・クリーム・ドーナツや、コンビニによるドーナツ販売など、新興勢力の参入に見舞われたものの、ミスドは1000店舗以上を展開する唯一のドーナツチェーンとして日本市場を抑えてきたのがこれまでの歴史だ。

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