「鳩の日」が盛り上がり始めたのは、2015年のことである。それ以前はどうだったかというと、通常商品の一部を安く販売していた。お得感はあっても、特別な価値を感じさせる要素はなかったといえる。
しかし、10年ほど前から、その日しか購入できないグッズなどを扱い始めた。2015年に「ポーチ付き 鳩サブレー」(5枚入り、540円)を販売したところ、ファンの間で話題に。その後も、8月10日に限定商品を扱ってきたわけだが、大きな転機を迎えたのは2019年のこと。創業125年にちなんで、「鳩サブレー 1枚入缶」(300円)を販売。多くの人が店舗や百貨店などに出向き、「2〜3時間ほど並んで、やっと購入できた」という人が続出した。
コロナ禍は自粛したものの、2023年には「もこもこ刺繍入り 鳩もこトート」(1350円)を用意した。このときオンライン限定で「鳩サブレー(8枚箱入+鳩もこトートセット)」(2250円)を販売したところ、サイトがつながらない状態に。「買いたいのに、買えない」人が続出したほか、サイトを運営している人も「なにもできない」状態がしばらく続いたそうだ。
リアルだけでなくネット上でも過熱感がうかがえるわけだが、鳩のデザインをあしらったグッズは、2002年から展開している。きっかけは、鳩サブレーが入っている「缶」だ。食べ終わったあとに「裁縫道具に使っていたり、文房具を入れていたり。捨てるのではなく、何らかのカタチで使っている人が多いんですよね。であればもっと豊島屋に愛着を持ってもらいたい、もっと豊島屋のファンになってもらいたい、という思いからグッズを開発することによって、それを缶の中に入れてもらうのはどうかと考えました」(広報担当)
鳩のグッズは、本店のみで扱うことにした。店頭に足を運んでもらいたい、鎌倉市に来てもらいたい、ファンを増やしたい――。こうした狙いもあって、2002年にグッズを製作。当時、携帯電話用のアクセサリーが流行っていたことから、ストラップの「鳩三郎(はとさぶろう)」と「鳩ぽっぽ」(いずれも500円)を店頭に並べたところ、想定以上に売れた。
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